拙者の写真修行小屋

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2018年 02月 27日

白鳥流し撮りバカ一代記・2018 part Ⅴ










part Ⅴ









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part Ⅳの続きで、後ろ姿特集
テイクオフ後の隊列は縦長になる傾向があるがため
後方からの撮影角度は、真横構図に比べて1画面内に複数羽をおさめやすく、圧縮効果も効かせやすい
顔が見えにくいのはちょっと寂しいが、その分、集の美しさを表現できるシャッターチャンスかもしれない








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下側の暗部は雑木林、上側の明部は淡い朝焼けの空
群が明部側まで上昇してしまうと、翼の描写が弱くなってしまう
そうかといって、背景がすべて真っ黒でも、それはそれで殺風景
明部と暗部の境界。そのあたりを通過するタイミングが勝負時だと思う

ISO50、F値は開放の5.6で撮影できたため、背景の描写がやわらか
隊列の形がもう少し良ければ・・・と思う1枚








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F値6.3
最高速度に達した飛翔で遠ざかるうえ、ほぼ開放の被写界深度なので、ぼけやすい
真横パンであればピントは決して妥協できないが、後ろ姿は、何故かぼけても許せる気がしてしまう







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むしろ、いくらかぼけてる方が好みである









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6羽いる、ように見えるが、実は3羽
斜めパンがうまくいかず、シャッターの途中で派手にぶれたためこのような描写になったもの
テイクオフ後の上昇角度は、風のコンディションによってまちまちなため、予想がしにくい要素である
結局、横・後ろ、正面それぞれ別の難しさがある
ただ、「頭上流し」の難易度だけが、圧倒的に突き抜けている









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失敗写真といえば、これはその最高峰(?)
パンの途中で何らかのイレギュラーが発生して集中力が途切れ
追尾を諦め投げやり的なシャッターを切った場合、こういった写真が時々撮れる
当然、ねらって撮ることは出来ない








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朝焼け色が浸透する空気の中で舞う7羽の群
ほぼノーレタッチ
ピンクのグラデーションと、シルエット調の描写
気に入っている1枚で、来シーズンは狙って撮りたいシーンになった









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上の写真の、第2シャッター
画面下側に現れた太陽に分割測光が過敏に反応して、一気にアンダーになった
画面下側は、パンで伸びた朝陽






part Ⅵに続く











by kobatetuapril | 2018-02-27 21:31 | 白鳥 | Comments(3)
2018年 02月 24日

白鳥流し撮りバカ一代記・2018 partⅣ








では、part Ⅳです





2年前、『対白鳥用決戦兵器』として
EF100-400mm F4.5-5.6 IS Ⅱ USM
を、清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入した
それまでEF70-300mm F4.5-5.6L IS USMで勝負していたため
写り・AF性能、そしてポジショニングの柔軟化効果は絶大で
今でも、ここ数年で一番の買い物だったと思っている(70-300は現在スナップ用レンズとして活躍している)

そして、今年新たに導入したサブウェポンがある
マルミ光機 可変ND(N2.5~N500)である
PLフィルターさえ使わない私にとって、フィルターに2万3000円は非常に高価であったが
流し撮りをする以上、NDは、地味に、しかし無くてはならないアイテムなのである

当たり前だが、1/5secというスローシャッターを切ろうとする場合
F値が日の出とともに、とんでもない高値に達してしまうからだ
夜明けが近づくにつれて、オートISOが100に達し
さらにF値が11になるあたりでISOを下限の50に切り替えるのだが
それでも、晴天だと、日の出直前頃でF値は13くらい、陽が昇ればあっという間に上限の32に達してしまう
日中ともなれば、いくら無理をしても1/20sec程度を維持するのがやっと、といった感じになり
もはや、「流し撮りのようなもの」しか出来なくなってしまう
だから、以前の私は、朝日が顔を出せばもう撮影をやめざるを得なかった(止め絵を撮ればいいという考えは無かった)
いつか太陽のもとで流し撮りをするのが、ちょっとした「夢」だったのだ
(昔、沢尻エリカのドラマでそんな感じなのありましたよね 笑)

可変NDは、そんな夢をきっと叶えてくれる、と思った






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これが夢にまで見た、太陽のもとでの流し撮りデビュー戦
正確なパンが出来た、という確かな手ごたえがあり、嬉々としてモニターを確認した

違和感があった

何かがおかしい
違和感を確信に変えたくない、という現実逃避にどうにか抗い、拡大表示をした








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正体は、これである
翼に、黒い帯状の「穴」が開いている
やや思案して、それが「白鳥自身の首の影」であることに気づいた
打ち下ろした翼をスクリーンのようにして、影が映っていたのである








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さらに、これは上の写真の第二シャッターの写真
皮肉なことに、正確なパンが持続している
首の影の代わりに、「翼の影」が写り込んでいる
そうでなくても、描写が硬質で優雅さが無い
これは興冷めだ

結局、可変NDはせいぜい「影が出来ない程度に曇っている天気の日中」にしか使えないことが分かった
曇っている日であれば、F値を小さくして描写を柔らかくする効果は得られるだろう

もう一つ欠点がある
「AFが低下する」、ということである
NDにAF機能を低下させるという取り扱い上の説明は無いが、明らかな実感があった
F値を大きくし過ぎた時も、同じような症状がある(特に、動きモノを撮ろうとする場合)
メカ音痴なので理屈は全く分からないが
1/5secを確保するために、ほぼ真っ暗になるほどNDの効果を強めるのだから、そんな影響があってもおかしくはない

今でも可変NDはおまじないのようにポケットにしのばせているが、あくまでも「非常用」である








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やはり、白鳥の流し撮りは、夜明け直前の薄光下でこそ
無理のない設定で、かつ白の美しさを最大限に際立たせることが出来る

ところで、今年の白鳥は例年以上に「早起きである」との評判だ
オートフォーカスも効かぬ暗蒼の時間帯から、全体の3割ほどが飛び立ってしまう
つまり、シャッターチャンスは例年より30%減、ということになる

この写真も、ISO1250という、厳しめの設定で撮った1枚だ
スローシャッターでISOを稼げる流し撮りでなければ、まともに撮影することさえ無理なはずである

正確なパンで追えている・・・という手ごたえに水を差す、テイクオフが遅れた右端の1羽
ただ、こんなことはしょっちゅう(むしろ、イレギュラーが発生しないことの方が稀だ)なので
いちいち残念がっていては写欲が維持できない








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流し撮りの基本は、真横パンであるが
それでも、被写体との距離は連写の間に遠→近→遠と
まるでドップラー効果のように目まぐるしく変化する
いくらか気持ちにゆとりができるとすれば、最後の「→遠」
つまり遠ざかってゆく彼らを追いかけてパンしている時だ








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一応、勝負どころは最初の「遠→近」の部分だと思っている
最後の「→遠」は、まぁ、良く言えば「余韻」、悪く言えば「ついで」のようなものだ
連写を終え、その「ついで」の部分を、コンビニで漫画雑誌を立ち読みするような気分でモニター確認する
めくっては削除ボタン、という、流し撮り撮影においては慢性的となっている動作の中
時々、ハッとするような風を見つける








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まことに、どの角度から見ても完璧な美しさを誇る、北風の化身達である








partⅤに続く












by kobatetuapril | 2018-02-24 22:24 | 白鳥 | Comments(3)
2018年 02月 22日

白鳥流し撮りバカ一代記・2018 partⅢ







ご無沙汰をしております

どうも寒いのが苦手で

苦手な分、お布団にもぐるのが大好きで

お布団の誘惑に負けてブログ更新が停滞しておりました

でも、毎週末の白鳥流し撮りだけは、欠かさずにトライしていますので

何百枚と撮影した写真の中から、個人的に印象的なの(必ずしも成功ショットという訳ではなく)を

掻い摘んでご紹介したいと思います

(撮影枚数が多すぎてピックアップに手間取ってるのも停滞の原因なんです)

では、流し撮りバカ一代記・再々起動です








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向かってくる被写体を、そこそこの精度の斜めパンで追えた一枚
なのだが、翼の描写が弱い
胴体だけが際立っており、優美さが無く、まるで白鳥の形をしたミサイルのようで、殺風景である
毎回同じ1/5秒で撮影していても、光の微妙な加減で、翼の描写は大きく変化する








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一方、こちらはやや曇りの日に撮影したもの
翼の描写が豊かで、淡いが、水面に映り込みもある
隊列の配置も良い
テイクオフの瞬間を、テレ端(400ミリ)で、この大きさで撮影し
かつ、画面内に4羽が収まるシャッターチャンスというのは、実はかなり稀である
まとまった隊列でテイクオフしないのは、もしかしたら白鳥達の、ある種防衛本能なのかもしれない
稀なシャッターチャンスをモノにした、という実感は、ある
が、全くもの足りない
理由は自分でも良く分からない








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朝焼けの空を並んで舞う2羽の白鳥
流し撮りとしては失敗作で、パンの途中で派手に上下ブレを起こしてしまったものである
頭上を通過してゆく被写体の流し撮りは間違いなく最高難易度で、ほとんど成功したためしがない
けれども、何故か憎めない一枚で、もしかしたら正確なパンが出来たものより味がある気がしている
わざわざ失敗写真を撮ろうなどとは思わないが、たまにはこういうのもアリだと思っている








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「頭上通過の被写体」の流し撮りの次に難しいのが、「正面に向かってくる被写体」の流し撮りである
そして、その難易度が絵としての美しさに反映されないというむくわれなさも、正面流しの特徴でもある
白鳥達がこちらに向かって飛んで来た時点でいくらか落胆するうえ
撮影結果を見た時に、こんな風に正確にパン出来ていると、なんだかやりきれない気持ちになったりする
露光間ズーム(いわゆるズーム流し)を行えばいくらか絵になるかもしれないが
残念ながらまだまだそこまで器用にはなれていない








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1/5秒(0.2秒)流し撮りがそこそこの確率で成功するようになった気がしたので
試しに0.3秒にトライしてみたもの
笑うしかない
まだまだ、1/5秒で修業を積む必要がある








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こちらも0.3秒
上空から舞い降りてきた白鳥が着水する瞬間
作品としての出来はともかく
羽ばたきでブレーキをかけるだけではなく、全身を使って着水の衝撃を吸収しているのがよく分かる一枚








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下側の茶色は、葦の群生
上側は夜明け前の薄闇
いくらか追い越し気味のパンで、ミスショットだが
翼の描写が美しく、闇に浮かぶような白が映える
2枚目の成功ショットより、こちらの方が好きである
流し撮りでは、羽ばたきの雄々しさがクローズアップされる
しかし、1/10秒の壁を突き破ると、雄々しさはなりを潜め、さらに時間を増すごとに、「静寂」が夜明けの空間を支配し始める








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水面への映り込みをねらいたいことや、羽ばたきの大きさから
基本方針としてはテイクオフの瞬間をねらうことにしている
それだけだとやっぱり飽きるので、滑空状態に入った群れを撮ることもある
飛行速度は速くなるが、頭部のブレがほぼ無くなるので、難易度はやや下がる傾向である
テイクオフ時よりも群の動向を観察する時間的ゆとりもある
ここ、と思ったところで第一シャッターを切る
ブラックアウトしたファインダーの中で、群の気配を、空想の風を追う
何物にも代え難いときめきがある
私が流し撮りで三脚と照準器を使わない理由が、そこにある
近い未来、デジタルカメラ界はブラックアウトフリーの時代に突入する
実際、SONYは α9でその技術の先駆を成し遂げた
私もいつか、その技術の結晶を手に翼を追う日が来るのだろう
けれども、闇の中で羽ばたきの鼓動を追い求めた情熱は、決して忘れることが無いと思う




partⅣに続く












by kobatetuapril | 2018-02-22 21:34 | 白鳥 | Comments(4)
2018年 02月 06日

須賀利の思い出 ~三重県尾鷲市須賀利町~









大王町を訪れた後、尾鷲の北、紀北町に宿泊した

同じ紀伊半島でも、伊勢・志摩・鳥羽などに比べると観光資源に乏しい町だが

もう一か所、熊野灘でどうしても巡っておきたい場所があったからだ

3泊4日の駆け足旅行の中、貴重な1泊を、私の我儘に費やしてくれたカミさんには密かに感謝している








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須賀利町
尾鷲の北方・紀北町にあるハイコストパフォーマンス宿・「民宿あづま」から
熊野灘の海岸に沿って南に進むこと30分の場所にある漁村である








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人口は250人ほどで、「町」というよりは「集落」といった印象だ
かつては須賀利村という独立村であったが、昭和中期の市町村合併で、尾鷲市に吸収された
だから、現在の地名は「尾鷲市須賀利町」なのだが
面白いことに、尾鷲市街地からは、一度紀北町に入ってからでないとたどり着けない
つまり、須賀利は尾鷲の「飛び地」といういうことになる
紀伊半島の飛び地は、この須賀利の他に
和歌山県に属しながら三重と奈良の県境に染み出したように位置する「北山村」が有名である
昔は、尾鷲~須賀利間の往来手段は巡航船のみであったため、まさしく「飛び地」であったのだが
道路の開通により容易に往来が可能となった
そして現在
利益が見込めなくなった巡航船が、平成に入り廃止となったことで
須賀利は尾鷲市よりもむしろ紀北町の生活圏に飲み込まれ
飛び地の色合いを、以前とは別の形で濃くしている








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地形は、東側の「須賀利湾」に向かって駆け下るような斜面で、街のいたる所に階段があり
そして、いたる所でつづら折れている








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その迷路のようなつづら折りを歩いていると、こんな風に、魚拓の様な手形をそこかしこに見かける
米寿の祝いを迎えた時に手形を押し、玄関先などに掲示するという、尾鷲独特の風習なのだそうだが
この須賀利では特に顕著に受け継がれているのだという
昔は米寿と言えば大変な長寿であったろうから
この手形のある家は「長老が住む家」として村の衆に崇められたに違いないが
現代では、この手形が無い家を探す方が難しいくらいに有り触れており
街の景観を成す一種の「紋様」にさえなっているという印象である
言い方を変えると、須賀利は著しい高齢化を迎えた漁村、ということになる




この漁村も、大王町に負けぬくらいに海辺の街の憧憬を集めており
カメラマンであれば一日中歩き回っても飽き足らないほどの魅力をたたえているのだが
以上の写真は、実は忘れ物(恥ずかしながら、三脚)を取りに再訪した時に駆け足で撮影したもので
記事タイトルにうたった「思い出」については、以下でお見せしたい

相変わらず冗長な記事となりますが、どうか、最後までお付き合いを頂けたら幸いです








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同じ日の、午前5時30分
須賀利漁港
街路灯の袂に、白煙を上げる、小さな火を見つける







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信州から見れば尾鷲は南国であるが、さすがに朝は冷え込む
暖を取っていると、女性が4人集まってきて
白レンズを装着した仰々しいフルサイズ一眼レフを首から下げた私を怪訝そうな眼差しで見つめ
やや間があった後、ぎこちない挨拶が交わされた








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おはようございます。今は何の魚がとれるんですか?
伊勢海老だよ。10月から始まってるんだけど、今は真冬で海老も動かないから、あまりとれないけどね








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ほら、船が帰って来たでしょう
定置網を仕掛けていたのを、朝早く出て行った船が引き上げてくるんだよ
へぇ~須賀利は伊勢海老漁が盛んなんですね
昔はね。今は、この船も合わせて3隻が漁に出るだけ。船は沢山あるのにね
漁師もどんどん年寄りになっちゃってるから、私らは「期待の新人」みたいなものだよ








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うわ~!デカいですね~!!
なに、こんなのはまだ小ぶりな方だよ








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ほら、兄さん、これ、カゴに入れといてよ(笑)

ファインダー越しに巨大な伊勢海老を手渡される
驚いて、思わずピントを外した
カメラから目を離すと、パッと視界が開ける
何しろ目の前は海なので、暴れて逃げられては大変だ
両手でしっかりと胴体を持った
生きている伊勢海老を手づかみしたのは生まれて初めてだった
大きな体で、おっかなびっくり伊勢海老を運ぶ私を見て、熊野灘の乙女たちが微笑んでいた
伊勢海老は、私の手の中からそんな光景を見て、ギィギィ・・・という奇妙な鳴き声を上げて、長いひげを動かしており
観念したのか、思いのほかおとなしかった

漁の邪魔になってはいけないと思い、最初は70-200のズームで撮影していたのだが
この雰囲気は、他人行儀な遠距離写撃ではなく、24-70で「入っていくべき」だと感じた
また、望遠だと距離をとりすぎて海に落ちそうだった、というのもある








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ねぇ、この兄さん、長野から来たんだってよ~
写真の撮影だって








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なにぃ?撮影か~
「老婆の休日」ってか?(笑)
いえ、皆さん「期待の新人」だっておっしゃってますよ(笑笑)








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間もなく、2隻目も帰ってきた








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海老を網から外す作業と、網を整えたたむ作業とが、同時進行する
一切淀みが無く
あやとりの達人の指先のように
アコーディオン奏者が蛇腹を操作するように
淡々と、海老を開放した網がたたまれてゆく








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ところで、シャッターを切りながら気になって仕方が無かったのが、この光景である








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ジャンボサイズのサザエが湯気を拭いている
海水が沸騰する薫りが実に香しい
生唾がしきりに出てきて、飲み込むのが忙しい
いやがおうにも期待が高まり、『これ、どうするんですか?』とたずねたい気持ちをグッとこらえる







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ハイ、どうぞ

キター!

一生懸命に遠慮する風を装いながら、1匹目にフォークを突き刺す







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わずかな抵抗の後、つるりっ、と、スプリングのように飛び出す身
海の幸をたらふく平らげている内蔵の緑色が、翡翠のように美しい
そして、尋常ではなく、デカい。こんなの見たことない
どうやって食していいのかわからず、カメラを首からぶら下げたまま上を向き
巨大なとぐろ状のそれを口の上に持ってくる
仰ぎ見た須賀利の空に、サザエの湯気が昇ってゆく
塩水が数滴、口の中に垂れた
ほんのりとした油気に、海水のえぐみがブレンドされている
滴る液だけでこんなに美味いのだから、身は一体全体どれほどであろうか

意を決して口中にとぐろを送り込む
窒息してしまうんじゃないかと思うほどデカい
内蔵が含む海藻の薫りが、喉を逆流して鼻腔に流れ込み、貯留する
噛みしめる
噛圧を押し返してくるような、得も言われぬ歯ごたえ
こんな感動は、何年か前に行った香川県で、製麺所の讃岐うどんを食して以来である
染み出る肉汁が、内臓の薫りと混じり合う
人類の英知をいかに結集しようとも決して及ばないような、神の配合である

そんなサザエを、なんと5個も頂いてしまった








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モグモグ・・・
美味い・・・こんな美味いサザエ、食ったことない・・・美味くて泣きそうになったのは初めて
そうでしょう~?やっぱり山のものより海のものの方が美味いよね?
反論の余地など、あろうはずがない









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兄さん、ホントいい時に来たね~








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幸せをかみしめていた、まさにその矢先のことである








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・・・・・!!?








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焼けたら声かけてやるから、待っててね

注)なお、これで一人前の模様

おぉ・・・なんたる絶景・・・熊野灘、バンザイ!

写欲が食欲に完全敗北した瞬間である

あと、お宿で私の帰りを待っているカミさんと子供のことが、ちょっと頭をよぎったりもした








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ウニは、漁師さんから名前をお聞きするのを忘れたが
後で調べてみたところ、おそらく
シラヒゲウニ(もしくはその近縁種)
だと思われる








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殻を割ってみると、卵は一般的なイメージと比べて、やや白味がかっている
味も薄いのか、と思いながら、フォークで卵をほじくり出して食してみると
淡泊な色合いからは想像できないほど濃厚で、そして、何よりクリーミーである

ウニと言えば、その保存の難しさから、流通の過程で「ミョウバン」が添加される事が多い
私が住んでいる海無し県・長野では、おそらくほとんどが添加後のものであろう
だから、信州人はミョウバンのほんのりとした「えぐみ」をウニの味として認識しているはずである
しかし、仮に海辺の土地で、産地直送をうたうミョウバン無添加のものを食すとしても
当然腐食はしないだろうが、粒の質感の劣化等、何らかの変性は免れない
つまり、物理的に、私がこの時食したもの以上に新鮮なウニというのは、ほとんどあり得ないのである

よく、薪やガス釜で炊いた米を「粒が立っている」と表現するが
このウニの食感がまさにそれで、ツブツブザラザラとした舌触りを思う存分楽しみ
しかし若干の名残り惜しさを感じながら、上顎と舌で挟み、粒をつぶすのであるが
ミニマムサイズの温泉卵を何百・何千個も同時に口に含んだかのように
トロトロフワリ、と、油と磯の香りが漏れ出すのであった
「舌」という器官には、薫りを知覚する機能もあることを実感したような気さえした


このままでは「拙者の写真修行小屋」はフォトブログではなく食レポブログになってしまう








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8時半にはお宿に帰らなければならない
時間が迫っていた







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ねぇ兄さん、撮った写真はどうするの?コンテストに出すの?
いえ、コンテストには出しませんけど、ブログっていう、インターネットの日記みたいのに載せたいと思ってます
えぇ~!じゃぁ私らこんな小さな漁港から一気に全国区デビューだね!
でも、私のブログを見てくれた人が、伊勢海老やウニが食べれると思ってここに来るかもしれませんね(笑)
そりゃ困るな~
今度おじゃまするときは長野のお土産、持ってきますね
いいよいいよ、こんなところで良かったら、いつでもまたおいでね。この街が好きだなんて言ってもらえると嬉しいから







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拝啓、須賀利漁港の皆様

美しい須賀利湾が見える家で、私の思い出をご覧になっていてくれていますか

私は、まだまだ拙いカメラマンだけど、「人」を撮るのが好きです

なかでも、「笑顔」を撮るのが好きです

ファインダーの四角い視界に、パッと笑顔の花が咲く瞬間が、とてもとても好きなのです

その花を見て、もらい笑いをして、ちょっと恥ずかしくなる時の自分が好きなのです

人見知りで、どうしようもなく口下手な私に、こんなにあたたかく接してくれて、ありがとうございました

カメラマンとして、生涯忘れられない思い出になりました



さようなら、熊野灘

またこの海に逢いに行きたい









須賀利の思い出


~ 完 ~




















































































































by kobatetuapril | 2018-02-06 22:20 | 風土 | Comments(3)